振込手数料どちらが負担すべきか?問題

すごい古い掲示板上の質問。

ビジネス取引上の支払をするにつき、銀行振込を先方が希望する為、振込手数料を差引いて送金したところ、振込手数料は振込人の負担だ、と改めて請求されているのですが、どうしても納得できません。

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1267248.html

気持ちはわかるんですが、「この人はビジネスの経験が少なすぎる。」というのがわかりますね。

もしかすると、個人事業主なりで起業して初めての取引だったのかもしれません。

法律上、支払い側が負担

BtoC(お店対消費者)の取引においては、かつては銀行振込もポピュラーな決済手段でした。

そして、ネット通販が始まったころから、銀行振込を選ぶお客様には「振込手数料はお客様のご負担です。」などと注意書きをするのが慣習のようになっています。

気づけばそういうルールになっていたし、どこのお店もそうやっていたから、当たり前のように「お客さんの負担」ということになっていました。

その根拠は、司法書士が質問者に回答している内容でわかりました。

民法では次の通り定められています。

(弁済の費用)
民法第485条
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

民法

弁済?と聞くと「弁償」のように、つぐなう費用のような印象を受けますが、弁済とは「支払いの義務を果たしてチャラにすること」です。

つまり、弁済の費用とは、運賃や交通費、宿泊費、そして振込手数料など、支払いをするためのコストのことを指します。

例えば、東京の企業が北海道の取引先に対して支払いをする際、振込ではなく「飛行機で現金をお持ちする。」という選択したなら、その交通費は弁済の費用にあたり、支払い側が負担するのが法律上定められているということです。

なので、振込手数料も当然、支払う側が負担するのが法的な解釈となります。

振込手数料を負担してくれる企業

当社でも何十社か取引企業があります。

BtoB(企業間取引)なので、支払はすべて銀行振込で、当然振込手数料はこちらが負担します。

でも、「企業によっては10万円以上の支払いの場合は振込手数料を差し引いてもOK」というところもあります。

法律を無視していますが違反というわけではなく、個々の企業のルールは法律より優先されるので、「とっても親切でありがたい。」という話になります。

BtoCの現場でも、かつて有名だった通販店の店主は「クレジットカード手数料は店で負担するのに、振込手数料はお客様に負担してもらうのは申し訳ない。」と、振込手数料を店側で負担していたケースもありました。

ちなみに、振込手数料は「弁済の費用」にあたりますが、クレジットカード手数料は「債権売却損」という難しい扱いになり、しかも、会計上「非課税」という面倒な処理もしないといけないんですね。

振込手数料を0円に

余談にはなりますが、「同一銀行の支店間なら振込手数料0円」という銀行も多いです。

なので、通販ショップなどでは、お客さんの負担を減らすために三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行などなど、場合によっては10行くらい用意しているお店もみたことがあります。

今そんな事する人や企業は少ないとは思いますが、当時(2000年代)には、それが良しとされていたんですよね。

口座なんてたくさん持っていても、お金が増えるわけでもないですし、銀行の数なんて300以上あるわけですから、5行10行と用意したところで、お客さんの利便性が格段にあがるわけじゃないですね。

個人的にも、学生のころから作った口座などがたまりにたまって10行以上になっていました。

残高0円で放置しておけばそのうち消滅するから良いんですが、「残っている」というのが気持ち悪くて、使っていない口座は全部解約してきました。↓

https://www.netshop7.com/blog2/mitsuisumitomo-yagou-kouza/

残高0円だと思った口座に5,000円ほど残っていて、ちょっと喜びましたけど(^_^)。

いつでも取りに来いや

「弁済の費用は支払い者の負担」というのが法律上決められています。

なので、振込手数料に納得いかない質問者は『金取りに来い、ボケがっ。来ればいつでも払うで…。』というわけですが、完全に理屈の通らない主張だというのがわかると思います。

一応、資本主義社会ですから、円滑に市民生活が送れるように法律が作られているわけで、それを守らないと「反射」と言われても仕方ないですね。

『金取りに来い、ボケがっ。来ればいつでも払うで…。』なんて、ほんとヤカラが言うようなことですしね。

気持ちはわかるんですけど、ルールがそうなっている以上、従わないと世の中からはみ出してしまいます。

振込トラブルいろいろ

20年以上通販(Shopify)をやっていますが、振込手数料を勝手に引いて振り込んできたり、手数料負担に難癖つけるお客さんは、記憶ないですね。

あれば覚えていると思いますが、おそらくゼロ件だと思います。

「弁済の費用」は支払い側が負担」なんて法律を知ってるひとなんて、ほとんどいないと思いますが、「振込手数料はお客様のご負担」と言えば、素直にそれに従うのは日本人らしいのかな、なんて思いますね。

ただ、そこだけ切り取れば、優秀な日本人、なんて思いそうす。

でも、1億人以上もいればいろんな人がいます。

銀行振込で商品を注文した客がいたんですが、当社側で間違って振込されていないのに商品を送ってしまったことがありました。(完全にオペレーション上のミス)

良識ある客なら「すぐ振り込みます。」となるところ、その中年女性は「いや、私は支払った。」の一点張りで結局商品を騙し取ってしまいました。

警察沙汰等にすれば支払ったでしょうが、金額もしれていたのでブラックリストに入れてオシマイにしましたけどね。

また、商品を買ってもないのに30万円くらい振り込んできたお客さんもいましたね。

「他へ振込のを間違って当社に振り込んでしまった。」パターンです。

「え?そんな注文入ってたっけ?」なんて騒ぎましたがすぐにお客さんから連絡があり、返金して(お客さんは)ことなきを得ました。

山口県の誤送金事件があったように、悪質な業者に間違って振り込んだのであれば、永遠に帰ってこないかもしれませんね。

振込の際は、振込先と金額をしっかり確認しましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

ゆるい起業家。ECや飲食、コンサル、投資*などをいろいろやってます。座右の銘は「のらりくらり」。*マルチやネットワークではない。まっとうな投資。